トマトフスキーの美術手帖

美術史を専攻している大学4年生のブログです。和鏡について卒論かきます。

マイブームは鼻煙壷(びえんこ)

大学のゼミで、好きな作品(絵画でも器でも)を選びカタログを作成するという課題がありました。

 

はじめは鍋島焼の作品で提出したのですが、その後訪れた台湾の故宮博物院で見た鼻煙壷(びえんこ)が忘れられず、研究室で見つけた図録を元に、鼻煙壷でカタログを作り直しました。

 

そもそも、鼻煙壷とは?から説明します。
鼻煙壷とは、「嗅ぎたばこ」を入れる携帯用の容器のことです。
「嗅ぎたばこ」は中国の明時代にイタリアから伝わり、上流階級で大流行しました。そして、清時代には極盛期を迎えます。日本には江戸時代の鎖国制度期に伝来した為か、「嗅ぎたばこ」そのものが流行しなかったようで、鼻煙壷は国内用ではなく輸出用として製作されました。

 

今回、私が取り上げたのは日本製の鼻煙壷。
本当は、代表的な清時代のガラス製鼻煙壷を取り上げるべきだったのでしょうが、日本製の鼻煙壷を見つけてしまい、つい個人的な思いに走ってしまいました。

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象牙製海老と貝図鼻煙壷
大きさ:H72mm
時代:明治以降 1868〜
所蔵:Tコレクション

 

象牙(ぞうげ)製の容器に、吉祥模様の海老と貝がデザインが施されています。
海老と貝にはそれぞれ「長寿」を意味する願いが込められ、贈り物によく使われる模様とされています。
きっと、この鼻煙壷を受け取る人の「長寿」を祈願した心温まるプレゼントなんでしょうね。

(「嗅ぎたばこ」そのものが健康に悪いのでは?というツッコミはなしで 笑)

 

 

今月23日まで、「ガラスの鼻煙壺(びえんこ)―清朝の嗅ぎたばこ入れ―」町田市立博物館で開催されています。


鼻煙壷はとても小さいのに、美しい装飾がきめ細やかに施されていて、思わず乙女心がくすぐられてしまいます。

是非、お気に入りの鼻煙壷を探しにいってみてください。